[ 三浦野菜デザインvol.1 ]海と向き合いながら、愛情深く野菜を育てる「やまきちファーム」の鈴木清光さん
- いとうまいこ

- 2025年2月26日
- 読了時間: 4分
更新日:3月29日

連載企画の概要
【連載】三浦野菜の作り手を知り、魅力を伝えるデザインプロジェクト
地元良品JOURNEY三浦半島篇と鎌倉のテキスタイルギャラリーCasa de pañoとのコラボ企画「三浦野菜デザインプロジェクト」が始まります。
三浦野菜の作り手や届ける仕事に携わる人にインタビューを行い、その魅力を「もよう」で表現します。完成したデザインはテキスタイルとなり、地元の人にも訪れた人にも長く愛される布製の日用品に展開します。
デザインは、旅行ガイドブック「ことりっぷ」を始め、広告や絵本などのイラストレーションを手掛けるイラストレーターのスズキトモコさんが担当します。第1回目の取材は、三浦市毘沙門の畑で、青首大根と早春キャベツの収穫に密着しました。
潮風の舞う、ミネラルたっぷりの三浦市毘沙門の畑
釣りスポットとしても知られる、三浦半島の南端に位置する毘沙門海岸のすぐそばには、高低差のある広大な畑が広がっています。海と富士山を眺めながら曲がりくねった農道を車で走り続けると、年間約50種類の野菜を作っているやまきちファームが見えてきます。

海のそばは一年を通して暖かく、潮風に乗って運ばれてくるミネラルにより土の健康状態が良く、化学肥料の使用を抑えることができる一方、塩害、土の乾燥、台風による被害とは常に隣り合わせ。
「風の強い日は、耳の中も鼻の中も砂だらけ。台風の時は、作物が全滅してしまう。でも畑に行っても何もしてあげられないから去るのをただ待つだけです。心配で一睡もできないけれど…」と、やまきちファームの鈴木清光さん。
やっぱり綺麗にできたときは、嬉しいし、気分がいいよ。
内陸部に比べ、海の近くの畑は大根が大きく成長する傾向があります。しかし、核家族の影響もあり小ぶりな大根が市場から求められているため、最近は株間の間隔を狭めるなど栽培時に細かな調整をしているそう。

青首大根における理想の形は、まっすぐ伸び、おしり(根の側)に丸みがあること。そして、表面は乾燥による横縞が無く美しいこと。
「でも曲がっていたり、二股になっている大根も、味はほとんど変わらないと思うよ。朝市だと、スーパーで手に入らない股割れ大根の方が人気だったりする。」

朝6時半から始まった収穫を9時過ぎに終え、自宅に戻ると大根洗いの作業に取り掛かります。大根洗い機から流れてきた大根を、今度は手作業で冷水の中で一本一本丁寧に洗い、美しい大根の姿が見えてきました。

「辛いこともあるけれど、やっぱり楽しみって必要。だから朝市は休まない」
毎週日曜日の早朝 5:00~8:30に開催される三浦朝市にも、欠かさず参加しているやまきちファーム。
「朝市に参加して、3年目。指名買いしてくれるお客さんもやっと増えてきて、『鈴木さんの野菜は愛情が感じられる』と言ってくれる方もいる。そう言われるのが一番嬉しいよね。」と、ご夫婦でお話しくださいました。

荷詰めや洗う工程時に、一度に大根を2本ずつ持って作業することで効率は上がるかもしれないが、どんな時も絶対に1本ずつ持つ。出荷前にカットする髭の部分も、二度洗いをする。大根の長さを揃え、重さごとに分けて箱詰めする。
「もうここまでくると、ただのこだわりなんだけど…」と、照れくさそうに微笑む鈴木さん。
一つ一つの丁寧な所作の積み重ねから、『数をこなすより、綺麗な野菜をお客様に届けたい』という鈴木さんの揺るがぬ信念が見えてきました。
取材日 2025/2/26
写真提供 日本テレビ
撮影 Yoichi Tsunoda

スズキトモコ / イラストレーター
新潟生まれ、東京都在住。武蔵野美術大学卒業後、映像制作会社に勤務したのち、フリーランスに。昭文社の旅行ガイドブック「ことりっぷ」を始め、広告、キャラクター、教科書や絵本などのイラストレーションを手掛ける。2023イタリア・ボローニャ国際絵本原画展入選。
SKETCH

GALLERY




Information
施設名 やまきちファーム
直売所 三崎朝市/ヤオコー三浦初声店/ぱんとべじ逗子/てん心・慈こう
Writer

いとうまいこ
大学卒業後、大手家電メーカーで商品企画や展示に関わる。そのときの経験からテキスタイル(布)に関わる仕事をしたいと考え、2023年にテキスタイルのギャラリー「Casa de paño」を鎌倉で開業。展覧会やワークショップの企画に加え、三浦半島の豊かな自然や生き物、暮らしをモチーフにした布製品の商品企画を行っている。本企画は、三浦半島で暮らす人・営む人へのインタビューをもとに、もようのデザインを通して地域の魅力を再発見し共有する試みです。









