【三浦野菜デザインvol.5】三浦スイカの美味しい秘密(2)芽の向きを一つ一つ揃える
- いとうまいこ

- 2025年5月21日
- 読了時間: 6分
更新日:3月29日

連載企画の概要
【連載】三浦野菜の作り手を知り、魅力を伝えるデザインプロジェクト
地元良品JOURNEY三浦半島篇と鎌倉のテキスタイル研究所Casa de pañoとのコラボ企画「三浦野菜デザインプロジェクト」。三浦野菜の作り手や届ける仕事に携わる人にインタビューを行い、その魅力を「もよう」で表現します。完成したデザインはテキスタイルとなり、地元の人にも訪れた人にも長く愛される布製の日用品に展開します。
デザインは、旅行ガイドブック「ことりっぷ」を始め、広告や絵本などのイラストレーションを手掛けるイラストレーターのスズキトモコさんが担当します。
今回は、『三浦スイカの美味しい秘密』をテーマに、三浦市農業協同組合の研究畑で、5月の大切な作業工程の一つである、スイカのつる引きの様子を取材しました。
三浦スイカの美味しい秘密(2) 芽の向きを一つ一つ揃える
5月中旬、4月に植えられたスイカの苗はビニールトンネルの中で元気に育ち、すき間から葉やツルをぐんぐん伸ばして顔を出していました。そんな光景が、三浦のあちこちの畑で広がっていました。
この日訪れた三浦市農業協同組合(農協)の研究畑では、整枝栽培(通称 引っ張り)と呼ばれる作業が行われていました。美味しいスイカを育てるために欠かせない大切な作業で、日光と風通しが良くなり、さらに後の交配や収穫工程がスムーズになります。

まず、伸びたツルの中から4本を選び、通路側の手前に向けて引っ張ります。そして、丸い弧を描くようにツルをUターンさせ、トンネルの中で芽の向きと角度をそろえていきます。

「引っ張りながら脇芽も取っています。ツルの途中がもしゃもしゃしていると、蒸れて病気になりやすいんです。」
そう話してくれたのは、三浦市農協 営農部の岩野仁さん。慣れた手つきで、手際よく丁寧にツルを整えていました。
今回見せていただいた「整枝栽培」の他にも、三浦独自の「オッカブセ栽培」や「先がけ栽培」があります。育て方は農家さんによって様々ですが、どの方法でも共通して大切なのは「芽をきちんとそろえること」だと教えてもらいました。

農家さんのアドバイザーとして、三浦野菜を支える縁の下の力持ち
近年、記録的な高温が続いている中、スイカの美味しさをどう守るかは大きな課題。営農部では、三浦の土地で美味しいスイカを栽培できるよう、品種や栽培条件について多角的に検証を進めています。
例えば、暑さに強い台木と親和性のある品種探し。現在は、トウガンやユウガオに接ぎ木したスイカの苗を植えるのが主流となっており、暑さに強い台木と親和性のあるスイカの品種を見つける為に、研究畑では様々な組み合わせで栽培をしています。

「初期の草勢(植物の育ちの勢い)が強すぎる苗より、収穫の直前まで調子が良いものが理想です。まずは育ててみないと分からないので、確認試験の成果が農家さんの役に立つのは、どうしても1年後。気象条件も毎年違うので難しさもありますが...」と、岩野さん。

ちょっとうまくいかないな、というときには、チーム内でとことん話し合い、次の一手を考えたり、農家さんとの情報交換を大切にしている営農部。だからこそ、「農協さんに教えてもらったやり方でやってみたら、今年は良かったよ!」という農家さんからの電話が、何よりもうれしい瞬間だそう。

台木と品種の組み合わせ、気が付けば61種類に!
三浦市は、北部と南部のエリアで最低気温に5度ほど差が出る年もあるため、各エリアの定植時の気温に合わせた苗を農家さんごとに提案しているそうです。
そこで、農協が管理する温室をのぞいてみると、多種多様なスイカの品種と台木を組み合わせた苗がずらり。この苗は、農家さんの畑で生育不良などのトラブルが起きたときに備えた“予備苗”。万が一にすぐ対応できるよう、農協で管理しています。

そしてその数、なんと61種類!これほど多様な品種のスイカを育てている地域は、日本でもめずらしいそう。農家さんと力を合わせて、高温など気象変化に耐えうる検討や各エリアの特性を追求している証です。
今年の夏は、自分好みの品種との出会いを求めて直売所を巡り、スイカの味や食感の奥深さに触れてみるのも、三浦ならではの夏の楽しみ方かもしれません。

6月は、三浦スイカの美味しい秘密をさらに探るべく、収穫前の「玉返し」作業と、検証の途中経過を研究畑からお届けします。
そして!2025年7月5日(土)には、営農部の研究畑にて「スイカの収穫体験会」を開催します。農協が検証を重ねて育ててきた小玉スイカの収穫を体験できる、貴重な機会です。子どもから大人まで、営農部の皆さんと一緒に、ちょっとマニアックで奥深い三浦スイカの世界を旅してみませんか?
*イベントの詳細や申し込み方法については、下記Informationをご覧ください
取材日 2025/05/21
写真提供 日本テレビ
撮影 Yoichi Tsunoda
Information
三浦市農協特別企画『三浦の畑でスイカ収穫体験会』
|日時|2025年7月5日(土) 10:00 ~ 12:00
*小雨決行、荒天の場合は7月12日(土)に延期となります。
|参加方法|
下記の必要事項をご記入の上、info@casadepano.com(三浦野菜デザインプロジェクトチーム宛)に、メールにてお申し込みください。
※申込み〆切は、6月25日(水)23:59
① 代表者のお名前
② 参加人数(お子様がいらっしゃる場合は、年齢もご記入ください)
③ 当日に連絡が取れる電話番号 ④ お住まいのエリア ⑤ 参加のきっかけ⑥予備日7月12日の参加可否についておしえてください
|定員|10組(1組5名様まで)
※定員を超えた場合は抽選となります。当落にかかわらず、結果は6月27日(金)までにご連絡を差し上げます。
※中学生以下は、保護者同伴でご参加ください。
|会場|
「神奈川県三浦市三崎町六合1009-2」
京浜急行電鉄【三崎口駅】から京浜急行バスで三崎方面へ『栄町』バス停から徒歩8分
|持ち物|小玉スイカ2個分入る袋 / 汚れても良い服装 / 長靴 / 飲み物 / タオル / 軍手
|収穫物|1組あたり小玉スイカ「夏のひとりじめ」2玉
|参加費|無料
Designer

スズキトモコ / イラストレーター
新潟生まれ、東京都在住。武蔵野美術大学卒業後、映像制作会社に勤務したのち、フリーランスに。昭文社の旅行ガイドブック「ことりっぷ」を始め、広告、キャラクター、教科書や絵本などのイラストレーションを手掛ける。2023イタリア・ボローニャ国際絵本原画展入選。
Writer

いとうまいこ
大学卒業後、大手家電メーカーで商品企画や展示に関わる。そのときの経験からテキスタイル(布)に関わる仕事をしたいと考え、2023年にテキスタイルのギャラリー「Casa de paño」を鎌倉で開業。展覧会やワークショップの企画に加え、三浦半島の豊かな自然や生き物、暮らしをモチーフにした布製品の商品企画を行っている。本企画は、三浦半島で暮らす人・営む人へのインタビューをもとに、もようのデザインを通して地域の魅力を再発見し共有する試みです。









