5月初旬。新潟在住のテキスタイルデザイナーただちさんがちぎり絵で描いた、アイスクリーム柄の色鮮やかな図案を見た瞬間、迫りくる猛暑に少し後ろ向きだった気持ちが吹き飛び、夏の訪れが楽しみになってきました。洋服、鞄、カーテンなど私たちの生活に密着しているテキスタイル(布)の模様で自然と気持ちが明るくなることもある。そんなプリントテキスタイルの魅力をお伝えできたらと思い、ただちさんと一緒にアイスクリームをテーマにした企画展を2024年7月27日(土)~28日(日)に開催しました。
スタジオのドアを開けた瞬間は、あまりの暑さでぐったりしているお客様も、アイスクリームをテーマにした布・絵本・ジェラート・焼き菓子が集結した愉快な雰囲気に不思議とすぐに笑顔がはじけ、スタジオは終始賑やかでした。
特に子どもにも大人にも大人気だったのが、壁面アート。「アイスクリームに染まる町」をテーマにただちさんがデザインした模様に、色とりどりの和紙テープを使って皆でアイス模様を壁面に制作する、ちぎり絵アクティビティです。
アイスクリームに顔や模様をつけてみる小さな子。「3時だから、アイス食べるの」と3時を指した時計の下でアイスを食べるウサギを描く女の子。「鬼のツノが好きだから」と鬼のツノをたくさん作る男の子。アザラシの上に鬼のツノを乗せて、髪型のようにして強くてかっこいいアイスができ上がりました。子ども達が紡ぎだす一つ一つのストーリーがとても素敵で、時折へんてこストーリーを聞いて一緒に大笑いしました。
子ども以上に張り切る大人の姿もとても印象的でした。細かいちぎり絵のタッチで虹や蝶を描いたり、三角コーンのパーツを帽子に見立てて魔女の顔を描いたり。雪の家に入っていく人を描いたり。気が付くと、壁面の前で1時間以上没頭していらっしゃる方もちらほら。
そして、スタジオの大きなテーブルでは、ちぎり絵でうちわ作りに没頭する子供たち。
途中、思い通りに表現できず泣いてしまった女の子も。すると急遽ただちさんが、何色で、どんなものを描いて欲しいか丁寧にリクエストを聞きながら、トナカイや猫、栗、お姫様など、子ども達の前で次々に絵を描いてくれました。「お姉さんも、こうやって失敗することあるから大丈夫だよ」とただちさんが伝えると、泣いていた女の子が自然ともう一度作品と向き合い始めることができました。
学生時代に「自分は、絵がそれほど上手くないんじゃないか。。。」という挫折感をずっと抱いていたというただちさんだからこその、優しい声掛けに感慨深くなりました。
制作の後は、GELATERIA SANTiのとっても美味しいジェラートアイスやクッキーサンドを食べたり、絵本を読んだり、思い思いにのんびりと過ごし、長閑な時間が流れていました。
焼き菓子屋 weekendさんのアイスクリーム型のクッキーやチョコミントのケーキもお土産に大人気。焼きのレモンスコーンは、大人気で初日のお昼過ぎには完売でした。
偶然ですが、ICE CREAM FESTIVALのメンバーのGELATERIA SANTiさん、焼き菓子屋のweekendさんも日本海側の出身で、新潟の街並みが描かれたテキスタイルを見ながら、ご当地トークで盛り上がっていました。そしてメンバーに全員に共通していることは、好きなことをとことん追求していること。「好き」を仕事にしようと決意するきっかけとなった秘話もご紹介いたしました。
改めて、猛暑の中、ICE CREAM FESTIVALにご参加くださった皆様、本当にありがとうございました。
そして新潟に戻るため、大急ぎで撤収をしているときの何気ない会話の中で、「作家活動をこれからも続けていきたい、テキスタイルやちぎり絵を通して子どもと関わっていきたいという思いがより強くなりました。」とお話しくださった、ただちさん。これからの活躍が益々楽しみです。
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